はじめに
光に関する技術は近年長足の進歩を遂げ、ことに光ファイバケーブルは通信回線,信号伝送の分野に必要不可欠なものとなっているのは周知の事実です。
電子機器についても、機器内や機器間のワイヤケーブルによる伝送を光ケーブル系に置き換えれば、雑音の誘導・輻射・絶縁などの問題点が簡単に解決できます。しかし現状では光ファイバの各分野への応用について、期待されるほど普及していないように思われます。この理由としては、次のような原因が考えられます。
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電気,電子回路には実用化の長い歴史と多様な手段が用意されているので、不慣れな光技術を採用しなくても、なんとか目的を達成する方法が見つかる。 |
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b) |
現在光通信回線網において確立した技術は、その性格上長距離・大量情報伝送・高速性に特色があり、部品等の構成要素が高価で手軽に応用できない。 |
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c) |
民生,工業用に大量生産される光ファイバ関連部品は、一般には市販されず入手が困難。 |
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d) |
各種の光ファイバ用部品の性能,規格,納期等がまちまちで、ユーザーが安心して利用できる環境が不十分。 |
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e) |
光ファイバおよび光関連素子と電気回路を組み合わせる場合の具体的な方法、特性がよく判らない等々。 |
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これらの問題点を解決する観点から、我社は主として数MHz以下の狭伝送帯域の伝送系にターゲットをおいた光ファイバの応用技術について実用化を進めてきました。
この連載ではこれまでの技術を集約して、技術者が光伝送系を実現するために必要な基礎知識と応用技術を逐次解説する予定です。
光ファイバや素子等は現実に使用され、代替え品を含めて容易に入手できるものを採用してあります。またデータや回路例は、できるだけ具体的な数値や定数をあげるようにしました。 |